
海上コンテナの種類|サイズ・高さ・機能ごとの分類や選定のポイントも解説

海上コンテナはサイズや高さ、機能ごとに多くの種類があり、選択によって積載効率やコストが大きく左右されます。そのため、貨物の種類や輸送条件に応じて、最適なコンテナを選ぶことが重要です。
本記事では、海上コンテナの代表的な種類をサイズ・高さ・機能別に整理し、選定のポイントも分かりやすく解説します。ぜひ参考にして、最適なコンテナ選びにお役立てください。
海上コンテナとは
海上コンテナとは、国際物流で貨物を効率的かつ安全に輸送するために設計された、大型で頑丈な容器です。主な素材はスチールやアルミニウムで、外部からの衝撃や天候、海水にも耐えられる高い強度と耐久性を持っています。
最大の特徴は、国や地域を問わず共通の規格で運用されている点です。かつては国や地域ごとにコンテナのサイズや形状が統一されておらず、積み替え作業に多くの手間と時間がかかっていました。しかし現在ではISO(国際標準化機構)による規格化が進み、世界共通の規格で製造されているため、どの国の港やトラックでもスムーズに積み下ろしや輸送が可能です。
このように、海上コンテナは国際物流の効率化と安全性向上に大きく貢献し、現代のグローバルなサプライチェーンを支える基盤となっています。
サイズで見る海上コンテナの種類
海上コンテナは長さによって主に20フィート、40フィート、45フィートの3種類に分類されます。それぞれ特徴や適した用途が異なりますので、以下で詳しく解説します。(船会社によって多少の誤差がございますので、都度確認が必要です)
20フィートコンテナ
20フィートコンテナは、最も標準的で汎用性の高いサイズのコンテナです。
外寸 | 長さ(L) | 6,058mm |
幅(W) | 2,438mm | |
高さ(H) | 2,591mm | |
積載可能サイズ | 長さ(L) | 5,800mm |
幅(W) | 2,300mm | |
高さ(H) | 2,250mm | |
最大積載量 | 28,080kg |
20フィートコンテナはサイズが小さいため、小口貨物や比較的小さなロットでの輸送にも利用されます。
40フィートコンテナ
40フィートコンテナは、20フィートコンテナの約2倍の長さを持つ大型コンテナです。
外寸 | 長さ(L) | 12,192mm |
幅(W) | 2,438mm | |
高さ(H) | 2,591mm | |
積載可能サイズ | 長さ(L) | 11,800mm |
幅(W) | 2,300mm | |
高さ(H) | 2,250mm | |
最大積載量 | 26,670kg |
主に長尺物の輸送や、複数台の車両、家具・家電などの一括輸送に活用されます。
運搬にはトレーラーが必要となり、設置場所や搬入経路の確認が重要です。コスト面では本体価格だけでなく、配送や設置費用も考慮して選定しましょう。
40フィートハイキューブコンテナ
40フィートハイキューブコンテナは、標準の40フィートコンテナと同じ長さと幅を持ちますが、高さが約2.896m(9'6")と約30cm高くなっています。
外寸 | 長さ(L) | 12,192mm |
幅(W) | 2,438mm | |
高さ(H) | 2,896mm | |
積載可能サイズ | 長さ(L) | 11,800mm |
幅(W) | 2,300mm | |
高さ(H) | 2,550mm | |
最大積載量 | 26,510kg |
特に自動車部品、家電製品、衣類、家具など、軽量で体積の大きい貨物の輸送に最適です。ただし、日本国内ではトレーラーとの組み合わせで高さ制限(4.1m)を超える可能性があるため、陸送経路の確認が必要です。
国際物流において最も汎用性の高いコンテナタイプの一つとなっています。
45フィートコンテナ
45フィートコンテナは、40フィートよりさらに長い大型サイズで、全長は約13.7mに及びます。
外寸 | 長さ(L) | 13,716mm |
幅(W) | 2,438mm | |
高さ(H) | 2,896mm | |
積載可能サイズ | 長さ(L) | 11,800mm |
幅(W) | 2,300mm | |
高さ(H) | ||
最大積載量 | 25,680kg |
特にアメリカや東南アジアでは一般的に利用されており、国際的にもISO規格として認可されています。日本国内では一般道での運送が規制されているため流通は限定的ですが、特区や港湾エリアなど一部で活用が進んでいます。
45フィートコンテナは、輸送効率を最大限に高めたい場合や、かさばる貨物をまとめて運びたい場合に最適です。ただし、設置や運搬には対応できるインフラや法規制の確認が必要となります。
高さで見る海上コンテナの種類
海上コンテナは高さによっても分類され、主に「標準コンテナ(8'6")」と「ハイキューブコンテナ(9'6")」の2種類があります。用途に応じて適切な高さのコンテナを選ぶことが重要です。
8'6"(標準コンテナ)
8フィート6インチ、つまり約2.6メートルの高さを持つ標準コンテナは、「汎用コンテナ」や「GP(General Purpose)」、「8'6(ハチロク)」と呼ばれ、世界中で最も多く流通しているコンテナです。長さや幅は他のコンテナと同じですが、高さが標準であるため、特別な条件を必要としない一般貨物の輸送に幅広く利用されています。
海上輸送だけでなく国内輸送や倉庫保管にも適しており、最も汎用性が高い選択肢といえます。
9'6"(ハイキューブコンテナ)
9フィート6インチ、つまり約2.9メートルの高さを持つハイキューブコンテナは、標準コンテナよりも1フィート(約30cm)高い設計です。高さを確保することで内部容積が約12%拡大し、同じ長さ・幅のコンテナでもより多くの貨物を積載できます。特に軽量でかさばる貨物や、背の高い荷物の輸送に適しており、積載効率を重視したい場合に選ばれています。
ハイキューブコンテナは「HCコンテナ」や「9'6(クンロク)」とも呼ばれ、40フィートタイプが主流です。海上運賃は標準コンテナと同一であることが多く、コスト効率の面でも有利ですが、日本国内の道路輸送では高さ制限により特殊車両通行許可が必要になる場合があるため、利用時は事前の確認が欠かせません。
機能で見る海上コンテナの種類
海上コンテナは、輸送する貨物の特性に合わせて様々な機能を持つものが開発されています。基本的なドライコンテナから特殊用途のコンテナまで、それぞれの特徴を解説します。
※FLAT等の特殊コンテナについては、港によって通行規制サイズの違いがあります。また大貨物のコンテナ選定には注意が必要です。詳しくは後藤回漕店へお問い合わせください
ドライコンテナ(Dry Container)
ドライコンテナは、最も一般的で流通量が多い標準タイプのコンテナです。
鋼鉄やアルミニウムで作られ、密閉性・防水性・防塵性に優れており、衣類や雑貨、機械部品、家具、工業製品など幅広い一般貨物の輸送に活用されています。温度管理を必要としない乾燥した商品向けに設計されているため、食品や医薬品などの温度変化に弱い貨物には適していませんが、その汎用性の高さから国際物流の基盤となっています。
サイズは20フィートと40フィートが主流で、堅牢な構造により輸送中の衝撃や天候から貨物を守ります。基本的な構造のため、レンタル料金も比較的安価です。
リーファーコンテナ(Reefer Container)
リーファーコンテナは、冷蔵・冷凍機能を備えた特殊なコンテナで、温度管理が必要な貨物の輸送に使われます。内部には断熱材が施され、冷却装置によって-20℃から+20℃程度まで温度を一定に保つことが可能です。
主な用途は冷凍食品や生鮮食品、ワイン、医薬品、美術品など、鮮度や品質を維持したまま輸送したい貨物です。電源が必要なため、輸送中は船舶やトラックの電源、または専用発電機から給電します。コールドチェーンの拡大やグローバルな生鮮物流の発展に欠かせない存在です。
オープントップコンテナ(Open Top Container)
オープントップコンテナは、天井部分が開放可能なコンテナです。上部が開いていることで、クレーンを使って上から荷物を積み下ろすことができ、特に高さのある貨物や、大型・重量物の輸送に適しています。
建設機械や大型設備、長尺物、背高貨物など、通常のドライコンテナに積載できない貨物や、積み込みが難しい貨物に活用されます。輸送中は防水シートでカバーし、雨や埃から貨物を保護しますが、完全な密閉性はないため、天候や輸送環境に応じて注意が必要です。
フラットラックコンテナ(Flat Rack Container)
フラットラックコンテナは、床面とエンドフレーム(両端の垂直フレーム)のみで構成されたコンテナです。側壁を折りたたんだり取り外したりできるため、規格外の大型貨物や重機、パイプ、鋼材、建設資材など、通常のドライコンテナに積載できないような形状やサイズが特殊な物品の輸送に最適です。
クレーンでの積み下ろしも容易で、貨物の形状に合わせて柔軟に対応できます。ただし、側面や天井がないため、天候や盗難リスクには十分な配慮が必要です。
フラットベッドコンテナ(Flat Bed Container)
フラットベッドコンテナは、フラットラックコンテナよりさらにシンプルな構造で、床面のみで構成されたコンテナです。高さや幅が大きく、通常のドライコンテナに収まらない超大型貨物や長尺物、重量物の輸送に適しています。
船内で複数のフラットベッドコンテナを連結してさらに大きな貨物を運ぶことも可能です。
タンクコンテナ(Tank Container)
タンクコンテナは、液体や気体などを大量に安全に輸送するために設計された特殊なコンテナです。内部に高強度のタンクが設置されており、化学品や石油製品、食品、医薬品などさまざまな液体・気体の輸送に利用されています。
ISO規格に準拠し、漏れや破損を防ぐための安全装置や圧力・温度制御機能が備わっています。輸送前の検査や保守点検も厳格に行われており、国際物流における液体・気体輸送の主流となっています。
海上コンテナを選定するポイント
海上コンテナの選定は、輸送効率やコストに大きく影響します。貨物の性質、コスト効率、輸送ルートなど、様々な要素を考慮して最適なコンテナを選ぶことが重要です。
貨物の性質に合わせたコンテナタイプを選ぶ
最も大切なのは、輸送する貨物の性質や特性に合ったコンテナを選ぶことです。
例えば、一般的な工業製品や雑貨にはドライコンテナが適していますが、食品や医薬品など温度管理が必要な貨物にはリーファーコンテナが必須です。また、長尺物や大型機械など特殊な形状の貨物にはオープントップコンテナやフラットラックコンテナ、液体や気体の輸送にはタンクコンテナが適合します。
貨物の大きさ・重量・形状・温度管理の有無などを事前に整理し、それぞれの用途に最適なタイプを選ぶことが、輸送効率と安全性の向上につながります。
コスト効率を考慮する
コンテナ選びでは、レンタル料金、運賃、付帯費用などのコスト要素を考慮することが重要です。特殊コンテナは一般的にドライコンテナよりも高額であるため、本当に必要な場合にのみ選択するようにしましょう。
また、貨物量に対して適切なサイズのコンテナを選ぶことで、スペースの無駄を減らし、輸送コストを最適化できます。例えば、20フィートコンテナ2個分の貨物なら、40フィートコンテナ1個の方がコスト効率が良い場合があります。パレットサイズや貨物の積み方を考慮して、コンテナ内のスペースを最大限に活用できるサイズを選びましょう。
輸送ルートの制約を確認する
最後に、選定したコンテナが実際の輸送ルートや現地インフラに適合しているか必ず確認しましょう。
例えば、ハイキューブコンテナや45フィートコンテナは国内輸送時に道路の高さ制限や重量制限を受ける場合があります。また、港湾や倉庫の設備によっては特殊コンテナの取り扱いが難しいケースもあるため、事前に現地の受け入れ体制や必要な許可、通行ルートの制約を調査しておくことが不可欠です。
輸送途中での積み替えや保管も含め、全体の物流フローに無理がないかを慎重にチェックしましょう。
まとめ
海上コンテナの選定は一見複雑に思えますが、貨物の特性や輸送条件をしっかりと把握し、適切なコンテナを選ぶことで、国際物流のリスクを軽減し、ビジネスの成功に繋げることができるでしょう。特に初めて海外取引を行う企業にとっては、専門家のサポートを受けることも検討すべき選択肢の一つです。
株式会社後藤回漕店では、お客様の物流ニーズに最適なコンテナ輸送サービスを提供しています。
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